厳しい状況が続く外食産業
飲食業界は、最も景気による影響を受けやすい業界と言われています。
収入が不安定になったときや給与額が減少してしまった場合、まずいちばんに控えるのは贅沢品である外食費です。
加えて最近では大企業が仕入れる食品の安全性について疑問に思える事例がいくつかあり、外食をするよりも自炊をしたり信頼できる給食サービスを利用したりというような動きも多くの場所で見られています。
しかし一方で一人暮らしの若者世代になるほど、外食をする回数が増える傾向にあるという調査結果もあります。
20代を対象にしたアンケート調査によると、全体の7割にあたる人が昼食・夕食で月に1度以上外食をすると回答をしており、さらに3割は週に1回以上外食をしているといいます。
若年層の外食の傾向としては、安価で食べることのできるファストフード系の店が多いことが特徴となっており、それらのニーズの受け皿となる低価格の飲食店も増加する傾向にあります。
一方で高所得者層を中心とした本物志向も1つの流れとしてあり、高級食材を使った高価な食事を提供するレストランなどが大きな売上をあげているということもしばしば見られます。
ネットの影響を大きく受ける傾向も
またここ最近の飲食業界の流れとしてあるのが、インターネットによる情報の影響です。
飲食店の多くが自店舗のホームページを作成したり、ECを作成したり、SNSを使用した情報発信をしていますが、これらの取り組みをしている店舗とそうでない店舗でかなり集客数に差が出てきています。
さらに「食べログ」を始めとした飲食店に関する情報ポータルサイトへの掲載情報によってお店の集客数が変わるということもあり、かなりネット上に記載される情報にはピリピリとしているのが各飲食店の状況です。
ポータルサイト以外でも個人のブログやSNSに利用をした飲食店の情報を事細かに掲載するという口コミの効果も無視できるものではなく、そうしたネット利用者への対応も飲食店側で多くはかられるようになってきています。
個食や中食といった食事ニーズへの対応
小売業界においては既に多様化するニーズへの対応による、少数生産・少数販売といった対応がとられていますが、この流れは飲食業界にもおよんでいます。
飲食業界においても、従来型のような友人同士や家族での外食の他、個人での食事や店舗内では食べずに持ち帰る中食といったような多様なニーズが発生してきています。
アンケートでも若い世代の男性などでは外食をするときの同伴者として半数以上が「自分ひとり」と回答するなど個食の割合が増えてきており、そうした人たちが抵抗感なく利用できる飲食サービスの提供が今後の飲食業界の流れの1つとして定着していくことが考えられます。